会員紹介:藤田亜紀子さん

 ウェルス・マネジメント株式会社 法務・コンプライアンス部 勤務

 平成26年度合格


<司法書士を目指した理由>

 

 前職の新卒で入社した会社が自社で収益不動産を購入して、バリューアップを行い、再販、管理の受託等を行っている会社だったのですが、バリューアップや物件の管理を行う中で、契約書や弁護士の方との実務上のやり取りを会社に評価していただき、法務セクションの立ち上げを行うことになったのですが、その過程で不動産会社における取引法務、商事法務まわりの体系的な理解が必要となり、司法書士試験科目が必要となる法律が一通りまとまっており、かつ実務者登用の試験であることもあって試験の内容が実践的であって、最も適していると感じたので、受験勉強を始めました。

 

 仕事をしながらの受験でしたので、まとまった勉強時間を確保することは難しかったのですが、業界柄、テキストに書かれていることが、実務でどうなるかというのを常に考えられる立場でしたので、その点では恵まれていたのかもしれません。

 

 合格後、司法書士事務所での勤務も検討しましたが、事業会社において自社の戦略上や案件検討の上で得た知識を活用していく方が自分には向いていると感じたので、前職に引き続き、不動産ファンド運用等を行っている会社に転職し、法務・コンプライアンス職に従事しております。

 

 

<現在の仕事内容・所属組織はどのような職種・業種ですか>

 

 不動産金融事業(不動産ファンド組成、運用等)とホテル運営事業を行う子会社をもつホールディングカンパニーの法務・コンプライアンス部で、取引関連法務、商事法務、ライセンス関連法務、コンプライアンス等法務関連全般を統括しています。

 

 現在の会社に転職して約3年ですが、入社前は独立した法務担当セクションがなかったため、前職同様、法務セクションの立ち上げからスタートし、今に至りますが、現在も法務を含めて管理部門全体が少人数のため、一人ひとりが担当する範囲も多く、未経験の分野等も回ってくるため、非常に勉強になります。

 

 

<社内で司法書士のスキルが生かされる場面>

 

 所属している業界が司法書士と非常に近しい業界というのもあると思いますが、不動産ファンド事業においては、「合同会社」等のファンドの器となる会社(特別目的会社=SPC)を利用しますが、案件に合わせたSPCを組成するのに、どのような構成にして、どういった登記が必要になるかの検討や、M&Aの検討にあたり必要となる手続きやデューデリジェンス等の取引に直結する分野から、上場会社として株主総会や取締役会等の運営上必要となることは何かといった商事法務分野まで、スキルを生かす場面は非常に多いです。

 

 実際のファンドの取引にあたっては外部の司法書士、弁護士の方たちと連携して、手続き等はお願いしていくことが多いですが、手続きに当たって社内で調製しなければならない議事録等について、何を入れなくてはいけないか、どの添付書類が必要か、といったことを社内で判断できるというのは、期限内に取引を間違いなく完了させていくにあたり、非常に有用だと感じています。

 

 労働法分野や金融商品取引法分野など、司法書士のスキルそのもの以外のものが必要となる場面も当然ありますが、法律の読み方、考え方等、広く司法書士試験の受験の中で培ったスキルという意味では生きない場面というのはおそらくほとんどないと思います。

 

 

<当協会について>

 

 当協会を知ったのは、合格者向けに予備校が配布していたリーフレットにあった記事だったのですが、合格者同期には司法書士事務所以外で勤務されている方というのはほとんどおらず(事業会社で勤務しながら勉強している人自体、ほとんど出会わなかったのですが)、自分と同様に司法書士事務所以外で勤務されている方の組織内での知識等への活かし方等を聞いてみたいと思い、入会させていただきました。

 

 直近は仕事の関係で例会等参加できる機会がそれほど多くないのですが、合格年度も企業規模も業種も異なる様々な方が所属しており、また司法書士として登録されている会員の方もいるので、同期との交流とはまた違う、刺激になる場だと感じています。