企業に勤める“司法書士”(有資格者)の働き方

「会員アンケート調査結果」の公表


 司法書士といえば、登記の専門家であり独立士業というのが一般的であり、そのようなイメージを持つ方が多いと思います。しかしながら、近年は少しずつ企業や官公庁等の組織で働く司法書士有資格者が増加しています。

司法書士界では、平成一桁代に2,000万件を超えていた不動産登記件数が近年では1,200万件程度になり、直近では平成18年に180万件 を数えた商業登記件数も120万件程度となるなど、登記件数自体が減少しているほか、登記手続のAI化などが取りざたされ、あまり良いニュースがないようにも見えます。

 

 企業では、トヨタ社長や経団連会長の「終身雇用を続けていくのが難しい」といった発言が注目を集め、業績が悪いとは言えない企業での早期退職募集も当たり前になってきている一方で、人手不足が深刻化しているといった論調が多く見られます。このように高度成長期が終わり企業の成長が簡単ではない中で、必要な人材とそうではない人材の違いが明らかになってきている中でも、コーポレートガバナンスへの注目度の高まりやコンプライアンスの重視などを背景に、法務人材の需要は増えており、この分野で確かな知識のある人材は不足している状況です。

このような状況の中で、司法書士資格を持つ方々が会社員や公務員になるのは必然的であるようにも思えますが、冒頭で述べたとおり、まだ数としてはそう多くはありません。

一つには、弁護士と違い企業内登録がほとんど認められない司法書士を企業側が「登記を依頼する人」としか見ておらず、会社で活躍する法務人材と見ていないこと、もう一つは、資格者側も、前例が少ない中、企業等で司法書士資格を生かして働くイメージが湧いていないことが原因になっているものと考えられます。

 

 同じ法律系士業である弁護士界でも、20年前から進められた一連の司法制度改革で想定された訴訟社会は訪れず、いわゆる過払い訴訟を除けばこの20年間訴訟件数は横ばいが続く一方で、弁護士数は17,000人から39,000人にまで増加するという困難に直面しましたが、これに対して、弁護士会では企業内登録を認め、積極的にその普及に努めた結果、企業内弁護士数は2,400人に上っており、弁護士は「訴訟を依頼する人」ではなく法律全般の専門家としての認知を確立し、近年では外部役員や第三者委員会など新しいフィールドを次々に開拓して企業側からも概ね好意的な評価を得ています。

 

 私たち協会に所属する方々はいまだ多くはない組織内で働く司法書士資格者であり、この方々がどのように働き、どう評価されているのかを知っていただくことで、司法書士資格者の方々の選択肢が広がるものと考え、アンケートを実施しました。


■Vol.3 組織内司法書士の労働条件(収入)(仮)